道の話題 18「北海道の道路」

北海道の道路

北海道の道路というと広大な大地を真っすぐに地平線の彼方にまで伸びていくシーンを思い描く方が多いのではないでしょうか?
実際、日本最長の直線道路は、北海道の国道12号線 美唄市~滝川市間の29.2kmの直線区間、第2位もオホーツクの風光明媚な小清水町~斜里町間の国道334号と斜網広域農道に跨る28.1kmの直線区間です。
このオホーツクの直線道路は、「天に続く道」というネーミングで観光資源として売込中とのことですが、気持良くスピードを出し過ぎてそのまま昇天してしまわないよう交通事故には要注意です。

また、雪のない季節に道外から来られた方は、どこも道路が広いというので驚かれ、交通量の割に無駄ではないかという疑問を持たれるケースも多いようですが、それには北海道特有のしかるべき理由があるのです。
それは、雪の問題で堆雪のために路側帯を広く確保しないと冬に道路が機能しないのです。雪は、札幌市だけでも除雪に約200億円(平成30年度実績)もかかっている厄介な代物ですが、雪という形で蓄えられた水が北海道の大地の豊穣な実りをもたらしているという大自然の摂理を考えると感謝しなければなりません。
この広い路側帯は、夏場は爽やかな風の中を疾駆する自転車の格好の通行レーンとなりますが、悲しいかな自転車シーズンが何とも短いのが雪国の習いです。

次に下の写真をご覧ください。

我々道民には見慣れた「矢羽根」(正式名称「固定式視線誘導柱」)ですが、道外の方々には目新しく、何だろうと印象付けられるようです。
そもそもは、昭和20年に当時の小回りの効かない除雪機械が作業中に側溝に脱輪するのを防ぐために、側溝の目印として垂木の頭に笹を束ねて白黒の縞模様を書いて立てたのが始まりで、改良を重ねた結果、昭和40年頃に矢羽根が誕生したとのことです。当初は、夏には取り外していたのが、昭和55年頃に現在のような固定式となり、除雪作業だけではなく、吹雪時や濃霧時の一般ドライバーの視線を誘導する交通安全施設として通年で機能するようになったのです。

次は、「ところ変われば、道路標識変わる」という話です。
下の写真の道路標識の英語表記の下の見慣れない文字にご注目ください。
これはロシア語。ロシアに最も近い日本最北端の町「稚内」のご当地道路標識です。
なかなか、北海道らしいと思われませんか?

続いて北海道らしい道路標識をもう一つご紹介しましょう。「熊注意」の標識です。
昨今は本州でもツキノワグマの「熊注意」標識は随所に見られるようで、北海道オリジナルとは言えなくなりましたが、圧倒的な迫力のヒグマは、やはり北海道ブランドで観光地では「クマ出没注意」のお土産は花盛りです。定番のステッカーに始まり、Tシャツにボールペン、マグカップにラーメンまで多種多彩。熊の観光収入への貢献度は大きそうです。

とは言え最近は人慣れしたヒグマの観光客との接触が問題となってきましたが、もっと困った動物問題は、同じく北海道の固有種「エゾシカ」です。
動物保護と猟師の減少、天敵の不在が相まって増えすぎてしまい、自動車や鉄道との衝突事故が大きな社会問題になっています。 大都市からの観光客にとっては、エゾシカは優しいまなざしの愛らしい生き物としか目に映らないのでしょうが、ドライブ中に衝突されたら車の大破だけにはとどまらず、運が悪ければ命も落としかねません。その上、保険は自損事故扱いで車同士の事故のような補償もおりないときますから、まさしく当たられ損の踏んだり蹴ったりなのです。

北海道は、他にもキタキツネにタヌキにアライグマ等々、サファリパークさながらですが、この自然の楽園には思わぬ危険も潜んでいますので、くれぐれも運転は安全第一で!

 (文責:小町谷信彦)

                     2019年11月第2号 No.65号