道の話題 16「アジアハイウェイ 」

アジアハイウェイ

アジアハイウェイをご存知ですか?
その名のとおり、アジアを横断、縦断しヨーロッパに抜けるハイウェイ。ハイウェイと言っても今ある道路網を活用し、現代のシルクロードを目指して計画されているもので、人が行き交う街中の道路あり、車のすれ違いさえ難しい田舎道ありで、日本の高速道路のようなわけにはいきません。
アジアハイウェイというネーミングから大陸の話か?と思う方も多いでしょうが、数あるアジアハイウェイの1号線は東京が起点なのです。日本橋からスタートして東京都内は首都高を通り、東名、名神、中国、山陽、関門、九州、福岡の各高速道路を経由します。そこで終わりかな?と一瞬思うのですが、福岡からは韓国の釜山に向けてフェリーで連絡するルートを経て、今のところは現実的ではありませんが、北朝鮮経由で中国の北京、さらにベトナムはホーチミン、タイのバンコック、インドのニューデリーなどを経てトルコのカプクレを終点とする13か国横断、延長約2万kmの長大なハイウェイなのです。
そして2号線は、インドネシアを起点としてイランを終点とする南廻り路線、3号線は、ロシアを起点としてミャンマーまで南下する南北縦断路線、他に釜山を起点としてロシアの西端までを縦断する北廻りの6号線など主要幹線は8ルートを数えます。

                 出典:国土交通省ホームページ

さらに5号線(現行の路線は、上海市を起点とし、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、などを経由して、トルコとブルガリアの国境近くが終点)に、東京を起点として新東名、伊勢湾、新名神などを経て西九州自動車道の佐世保からフェリーで上海に渡るルートの編入が予定され、他にも東京起点で中央、長野、上信越、北陸自動車道などを経由して釜山へのルートの6号線への編入や関越自動車道で新潟からウラジオストックに渡るルートの30号線への編入が提案されているとのことです。

このアジアハイウェイ、東京より北の地域にはとんとご縁がなく、ましてや北海道にとっては、津軽海峡の向こうの海外の話題という感じなので、今後、サハリンの資源開発が飛躍的に進展し、ロシア極東地域が目覚ましい発展を遂げれば、と他力本願な夢を妄想したくもなります。
それにしても、アジア全体が国境を越えてハイウェイで縦横に繋がろうという時代に、国土を南北に縦貫し国土軸を形成するハイウェイ網がいまだに未完成という日本の高速道路事情はまだまだ発展途上で、何とも情けのない限りです。

 

   出典:国土交通省HP

さて、この写真は、アジアハイウェイ1号線の路線表示標識ですが、東名や名神などのルートとなっている高速道路18か所に現在設置されています。
今後、国内の高速道路のアジアハイウェイ路線への編入が進むと国内のあちこちでこのエキゾチックな標識が見られるようになりそうですね。
残念ながら北海道では当分この標識を発見する楽しみはなさそうですが、ニセコ比羅夫のスキー場界隈をぶらぶら歩けば、英語の店舗看板やメニューがふんだんに見られ、ここはどこの国?というプチ海外旅行気分を楽しめるのがせめてもの慰みでしょうか。

(文責:小町谷信彦)
2019年4月第2号 No.58