道の話題36「コクドル、知ってる?~人々の想いを繋ぐ刻道の使者たち」

 「グラドル」がグラビアアイドルの略称だと最近知りました。有事に強い$(ドル)ということで最近はドル高ですが、それだけではなく〇〇ドルが流行り始めたようです。旧人類の私には、「ウマ娘プリティーダービー」のトップアイドルの誕生日記念イベント「みんなでトップウマドルプロジェクト」への参加者が国境を越えて2兆人以上という話は驚き以外の何物でもありません。これがジェネレーションギャップということなのでしょう。

 前置きはさておき、本題の「コクドル」とは何か?
「コクドル」は、少女の姿をした道路の使者で、道路が通る地域の魅力をアピールしていくアニメのアイドルキャラクターのことです。某ゲームソフト会社がその始動を先月(2022年6月)発表したのですが、全国各地のスポットとのコラボや地域産業発展の後押し、交通安全のアピール活動などを展開していくとのこと。第一弾として公開されたキャラクターは、国道1号線(東京(日本橋)~大阪)のアイドルである「コクドル1号・橋本一路晴」と「コクドル3号・三門司」「コクドル4号・四ノ森葵央」というアイドル少女たち。
 「コクドルたちが『人々の想いを刻み、繋ぐこと』を使命として、刻み歩いた地には道が開け、交通が活発になり、いつしかその道は「刻道」と呼ばれるようになった」というくだりでストーリーは始まり、「それから数百年、現代のコクドルは、今日も人々の想いを刻み、繋ぐ」という物語になっています。

 ところで、このコクドルプロジェクトのキーワードの「繋ぐ」は、東日本大震災以来、しばしば耳にするようになった「絆」と同義の「人と人を繋ぐ」だけではなく、「地域と地域を繋ぐ」、「過去・現在・未来を繋ぐ」等々、様々なイメージを呼び起こします。
 実は手前味噌ですが、当社草野作工が2019年に会社のブランドコンセプトを検討した際に、「哲学」として掲げたのは「美しく、繋げる」で、ロゴ(スローガン)「『かたち』は、人を想う、その先に。」には、「繋ぐ」が包含する様々な想いが込められています。

 さて、もうひとつ注目したい話題をご紹介します。
それは、国土交通省北海道局の橋本幸局長が北海道開発局長時代に自費で企画・製作した開発局のリクルート動画です。プロ並みの腕前のミュージシャンでもある橋本局長ならではの人的ネットワークも活用して、ゲーム仕立ての仕事体験や洗練されたビジュアルでの北海道の現状や課題の紹介など、楽しく、わかりやすく若者の心を刺激する素晴らしいクオリティーの5分動画に仕上がっています。
まだご覧になってない方は、是非、こちらからご覧になってみてください! ”北海道開発局非公式リクルートムービー”

 この斬新な発想の二つの取組は、Z世代(注1)にメッセージを伝える新しいアプローチとして、とても秀逸で参考になる試みと言えそうです。
歴史を振り返ると、時代と共に情報の伝達手段・手法は変わってきました。太古の昔の口伝から始まり、紙の発明により書物へ、そしてラジオ、テレビと時代は移り、今やインターネット全盛です。
 しかし、技術の発達によりツールは進化しても、人の心を動かすのは、相手の心を知り、それに合った方法、内容で誠実にアプローチするということが基本で、それは不変なのかもしれません。約2000年前に中東から南欧を股にかけて諸国民に聖書の真理を伝えた伝道者パウロが「私はあらゆる人に対してあらゆるものになってきた」と聖書(コリントのクリスチャンへの第一の手紙)に記した言葉は、その真髄をついているようにも思います。もし、パウロが現代に生き返ったならば、神の使者としてネット上で様々な姿、あらゆる国の者になり、世界中を駆け巡るに違いありません。
 さて、コクドル・刻道の使者たち、そして橋本局長の想いは、共感の輪となって広がっていくのか。今後の展開が楽しみです。

(注1)Z世代: アメリカの「ジェネレーションZ」が日本に伝わって「Z世代」と呼ばれるようになった。年齢の明確な定義はないが、一般的に「1990年半ばから2010年代生まれ」の世代を指す。

2022年7月第2号 No.123号
(文責:小町谷信彦)