橋の話題 3「映画の舞台としての橋 その2」

映画の舞台としての橋 その2「ロマンと現実を表す橋」

映画の舞台としての橋。身近な道内の橋を思い浮かべましょう。「霧の街釧路」の“幣舞橋”は、古くは「挽歌」(1957年、1976年)、最近では「ハナミズキ」(2010年)、「僕等がいた」(2012年)、「起終点駅ターミナル」(2012年)と釧路が舞台になる映画では外せないスポット。海に沈む夕日を引き立てる橋の写真が観光ポスターになっていますが、「絵になる橋」の好例ですね。

この「絵になる橋」と言えば外せない映画があります。「マディソン郡の橋」(1995年)。晩年の渋いクリント・イーストウッドと熟年の魅力メリル・ストリープという大御所二人が主役を演じたローズマン・ブリッジ。あの米国の田舎感満載のクラッシックなカバードブリッジ(屋根付き橋)は印象に残る風景でした。日本でも愛媛県などに屋根付きの木橋が少ないながら何橋か残っているようですので、もしかすると邦画にも登場しているのかもしれません。

私の世代の多くが、青春の残像として懐かしい想いを共有できる映画は「神田川」(1974年)ですね。映画では、主人公の下宿は面影橋の近くという設定ですが、実際に映画のロケで使われた橋は豊(ゆたか)橋。とはいえ、三畳一間の下宿を舞台にした貧乏学生の純愛物語に「豊かな橋」はないだろうということで「豊橋」という橋名は伏せられたとか。バブル経済の時代の映画ならぴったりだったんですけどね。

橋が主役級の映画は、他にも「戦場にかける橋」(1957年)とか「遠すぎた橋」(1977年)、「レマゲン鉄橋」(1969年)、「橋」(1959年)等々。どうも、ロマンとは対極の戦争物も多いですね。橋は、川や海といった自然の障壁を乗り越える交通動脈で、破壊されると機能不全に陥るので軍事上も要所。戦争映画は好みではないのですが、橋を巡る攻防戦は戦争の帰すうをも左右しかねない戦争ドラマにはうってつけのテーマなのでしょう。

フィクションだけでなくドキュメンタリー映画もご紹介しましょう。
いきなり暗い話で気がひけるのですが、実は、ゴールデンゲートブリッジは、自殺の名所としても有名。なんと世界一飛び降り自殺の多い建造物と言われています。
ドキュメンタリー映画「ブリッジ」はゴールデンゲートブリッジでの自殺をテーマとした2006年公開の米国映画ですが、公開当時、本物の自殺を映像化した衝撃的な内容がセンセーションを巻き起こしたとのこと。ただ、ご安心ください。現在は、自殺対策のための取り組みが進行中のようで、一日も早くその完成が待たれているところです。くれぐれも、そのような橋の使い方は、なさいませんように!

映画の舞台としての橋を通して

映画に登場する橋のあれこれは如何でしたか。
橋を渡りながら目的地に向かうだけではなく、好きな映画のシーンを思い浮かべて、そのヒーロー、ヒロインになりきるのも橋の楽しみ方の一つ。橋にはそんな機能もあるのですから。

(N.K)