北海道における機械除雪の歴史
一般社団法人日本建設機械施工協会北海道支部
技術顧問 堅田 豊

1.除雪車の役割

北国に住む人々にとって、通勤、通学、緊急車両の出動、生活用品の物流や観光など、冬期間の「道」の確保は必要不可欠です。その「道」を確保するために「除雪車」は日夜稼働しています。
北国の暮らしを支えるために、人と人とを、街と街とをつなげるために除雪車は走り続けています。

 

2.除雪車の出動

除雪車の多くは、みなさんが寝静まった頃に活躍をしています。前夜、あんなに雪が降っていたのに、朝起きたら道路や歩道がきれいに除雪されています。除雪は、みなさんが寝静まった深夜から早朝にかけて行うことが多く、通勤通学時間前までに終えるよう計画しています。除雪車も除雪作業員も夜遅くからが本番なのです。

除雪車の出動のタイミングが遅れると、都市部では交通渋滞が発生したり、圧雪路面となり除雪作業に必要以上の時間がかかるので、気象情報、道路カメラ映像を確認しながら出動しています。

3.除雪車の種類と色々な作業

除雪車は、降り積もった雪を飛ばし、デコボコを削り、道を広げ、ツルツル路面を解消します。早く・効率的に作業するため、除雪車の種類、組み合わせは多種多様です。

4.除雪車の歴史

除雪車の歴史について、北海道の国道を管理している北海道開発局の除雪車について主に紹介します。
戦時輸送力強化のために、Vプラウを装備した日本初の除雪トラックが昭和18年に北海道で誕生しました。

(1)除雪トラック

機動性が高く、主に新雪除雪、路面整正、拡幅除雪など高速除雪に使用されます。

(2)除雪グレーダ

圧雪除去能力が高く、主に新雪除雪、路面整正(圧雪除去)、拡幅除雪などに使用されます。

(3)ロータリ除雪車

走行しながら積雪をかき込み投雪できるため、拡幅除雪、運搬排雪に使用されます。

(4)除雪ドーザ

小回りが利き、機動力があるため、主に交差点処理、新雪除雪、拡幅除雪などに使用されます。

(5)歩道除雪車

歩道用の搭乗式ロータリ除雪車です。新雪除雪にはブレードタイプも使用されます。

6)凍結防止剤散布車

塩化ナトリウムなど凍結防止剤や防滑材を散布円盤などにより路面に散布するものです。

(7)最新除雪車の開発

除雪現場の省力化による生産性・安全性の向上に関する取組で、一般国道334号知床峠において準天頂衛星等による自車位置把握やロータリ除雪車の装置自動化、ミリ波レーダ等による前方障害物検知などの実証実験が行われています。(北海道開発局ホームページのi-Snowより抜粋)

5.あとがき

除雪車の種類と色々な作業、除雪車の歴史などについて紹介しました。北海道の生活に欠かすことの出来ない除雪車、そのため、信頼性の高い除雪車の開発に力を注ぎ続けて来ました。
近年は、除雪車オペレータの高齢化、大雪や暴風雪等の異常気象による通行止めの頻発などの課題に対応するため、安全で的確な除雪を目指した除雪車の開発を進めています。
除雪車は、これからも北の暮らしと共に進化しております。

(参考資料)
「除雪者によろしく」: 一般社団法人日本建設機械施工協会北海道支部

一般社団法人日本建設機械施工協会北海道支部 技術顧問 堅田 豊
1948年北海道生まれ
1971年 室蘭工業大学大学院修了後、北海道開発局入局
2008年 一般社団法人日本建設機械施工協会北海道支部 技術顧問より現職
技術士(総合技術監理部門、機械部門(建設、鉱山、荷役及び運搬機械))