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イエローフィールド~インフラメンテナンスの新しい領域~

2026年7月27日 公開

 「経済成長を牽引するハード・ソフトのインフラ」、これは令和8年版国土交通白書のテーマです。
 我々土木関係者にとってはとても元気づけられるテーマですが、必ずしも日本のインフラの未来は明るいという話ではありません。
 白書では、「公共投資の抑制傾向が続く中、空港等の国際競争力の確保が課題であり『インフラが成長のボトルネックとなる懸念』がある」とわが国の経済の将来とインフラの現状との関係を鋭く分析しています。欧米諸国では、基幹インフラの整備が経済成長を促し、雇用創出の不可欠な存在として、新規の成長インフラへの既存インフラの再構築などを推進しているが、日本は立ち遅れているというわけです。
 それは下図(出典:「令和8年版国土交通白書」)からも明らかで、今後、「『強い経済』の実現に向けて、成長戦略の策定などを推進する必要がある」という結論が打ち出されています。

 実際、この白書でも取り上げられている欧米の国際空港は、利用された方は実感されていると思いますが、空港のスケールの大きさや一つの街のような様々な機能の充実度という点で日本の空港とは大違いです。

巨大なフラミンゴが印象的なタンパ国際空港(米国フロリダ)

日本の空港もお洒落な雰囲気になってきたがまだまだ(羽田国際空港)

 そういうわけで、「世界に追いつき、追い越せ」と檄を飛ばしているのが今年の国土交通白書と言えそうですが、このような流れの中で今、「イエローフィールド」と呼ばれるインフラの新しい事業領域が注目されています。
 初耳の方も多いと思いますが、これはインフラを新設する「グリーンフィールド」と既存のインフラを運営・維持管理する「ブラウンフィールド」の中間の領域です。対象は既存インフラなのですが、従来の維持管理とは異なり、大規模改修や増設、用途転換、デジタル化や脱炭素化の投資などを通して新たな機能や収支構造を再設計するという新しいビジネスです。つまり、これまでインフラの維持管理は、民間のノウハウを生かせない上、財政の制約も大きく、民間事業としては魅力に欠ける事業領域でしたが、維持管理だけでなく、インフラの価値向上という付加価値を付けることで、程好いリスク・リターンを伴うビジネス領域が誕生したということです。
 ちなみに、競争者がひしめく既存の事業領域は「レッドオーシャン」、競合する会社があまりいない新しい事業領域は「ブルーオーシャン」と呼ばれますが、このイエローフィールドはブルーオーシャンと言えるでしょう。
 では期待を集めるイエローフィールドには、どんなものが考えられるのでしょうか?
 例えば、道路分野では、既存道路の中央分離帯や路肩空間に有料のエクスプレスレーン(渋滞回避のための専用レーン)を増設や未利用地を活用した太陽光発電、空港分野では、ターミナルビル内の商業施設の再編や旅客動線の改良、設備更新、上下水道分野では、運営の広域化や遠隔監視システムの導入、データ解析による効率性と持続性の両立など、様々な取り組みが検討されているようです。

 イエローフィールドは、多様な視点でのインフラ高度化の取り組みなので、多様な技術とともに、斬新な構想力が必要とされます。
 「知恵は強さよりも価値がある」(旧約聖書 伝道の書9:16)
 付加価値を生み出す知恵、これが勝負のこの土俵では、今から3000年も前にイスラエルの賢王ソロモンが語ったこの言葉が、重みを持って響きます。

2026年7月第2号No.185号
(文責:小町谷信彦)

 

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