土木の話題
土木の話題「インフラの多機能化と活用」
2026年7月13日 公開 近年、市街地における道路や河川の空間としての価値が高まってきました。公共空間としての多様な活用の可能性が注目されているのです。
とりわけ、地球温暖化の影響で激甚化した災害に対処する防災対策の切り札として道路の地下空間の活用が進んでいます。2006年には国道16号の地下50m地点に延長約6.3㎞の「首都圏外郭放水路」(埼玉県)が完成し江戸川流域の治水対策に効果を発揮しているほか、2008年には東京の環状7号線の地下約40m地点に延長約4.5㎞の地下調節池が完成し、神田川や善福寺川の氾濫防止に大きな効果を発揮しています。
そして現在国土交通省は、それをさらに発展させて「貯水機能を有した放水路トンネルと交通状態緩和のための道路トンネルとの併用」や「道の駅を核とした交通拠点と防災拠点(河川防災ステーション)の連携」など、様々な多機能インフラプロジェクトの検討を進めています。
インフラの多機能化は、防災だけではありません。堤防の天端はこれまでもサイクリングロードとして活用されていましたが、広幅員の堤防を道路構造物と一体化し、堤防の内部を道路トンネル、上部を歩行者用道路とサイクリングロードにするなど、渋滞緩和やレクリエーション利用といった色々な用途でのアイディアも出ています。
この動きは、国土交通省が「居心地が良く、あるきたくなるまちへ」をキャッチフレーズに、街路空間を車中心から人中心の空間へと再構築し街に賑わいを生み出そうという「ウォーカブルなまちづくり」とも連動しています。
東京駅と皇居の間に広がる「丸の内」は、日本を代表する巨大なビジネス街ですが、かつては仕事で訪れるビジネスマン以外は寄せ付けない冷たい雰囲気の街でしたが、今やメインストリートには、多彩なレストランやアパレルショップが立ち並び、平日でも外国人観光客や若者が集う、お洒落な賑わいの場に変貌しました。
ビジネスマンが足早にすれ違うだけだった歩道や交差点広場には、お洒落なベンチやテーブルが置かれ、大きな街路樹の下でゆったりとくつろげ、数々のカフェテラスがパリを彷彿とさせるようなエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。週末には、歩行者天国となった道路も広場となって様々なイベントで賑わいます。道路空間は、活用の知恵によってこんなにも大きく街を変える力があるのです。
こんな「都市の居場所づくり」が全国の町々で、それぞれの地域らしさを売りに、しのぎを削っています。インフラの多機能化、新たな視点での活用はその成否を左右する重要ファクターです。
当社の地元・江別市でも川という貴重なインフラを「まち」と一体的に整備する「かわまちづくり事業」が進行中で、令和9年度中に事業が完了予定です。
「まち」は生き物、完成したインフラをどう活かすか、江別駅前エリアに賑わいを取り戻せるか、地域の想いと知恵が試されます。これからが、いよいよ本番です!
歩道の休憩スペース(丸の内)
交差点広場(丸の内)
お洒落なカフェテリア(丸の内)
賑わう中庭風広場(丸の内)
ビルのすき間の小径(Slit Park YURAKUCHO)
ビルのすき間にもキッチンカー(Slit Park YURAKUCHO)
2026年7月第1号 No.184
(文責:小町谷信彦)
