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「歌う空港」から「メロディーロード」そして「話す道路」へ

2026年9月7日 公開

 皆さんは、音楽が流れる道路を走ったことはありますか?
 これは「メロディロード」と呼ばれる道路で、車がある所定の速度で走ると道路とタイヤとの摩擦音で音楽が聞こえる仕組みなのですが、全国で約40か所が設置されているようです。

 その日本での第1号は、北海道の標津町の町道でした。標津町の(株)篠田興業が北海道道立工業試験場(現・北海道立総合研究機構)と共同開発し、2004年に実験的に設置したのです。
「知床旅情」、まさに知床半島を遠望する標津町ならではのご当地ソングがこの道路から流れてきます。
 深田興業はこの開発で特許を取り、この特許技術を使って各地でメロディロードが造られました。それは交通安全への貢献だけではなく、それぞれの土地ゆかりの曲が、ご当地観光にも一役買っています。
 例えば、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者 水木しげるの生地・島根県境港市では鬼太郎のテーマソング、大分県竹田市では、竹田城ゆかりの「荒城の月」が流れ、 富士スバルラインや芦ノ湖スカイラインでは、富士山を眺望しながらバックグラウンドミュージックは「ふじの山」というあんばいです。
 なかなか優れた舞台装置と言えそうですが、極めつけは、2009年にダンロップと共同で設置した長野県茅野市のメロディーロードです。サイモンとガーファンクルの「スカボロー・フェア」をバックに美ヶ原の快適ドライブを満喫できたこの道路、何とカンヌ国際広告賞の金賞を受賞し話題を集めました。(残念なことに2021年に撤去されてしまったのですが……)

標津町のメロディロード(出典:ウィキペディア「メロディーロード」)

 ところで、この開発には裏話があって、このアイディアが生まれたのは一つの失敗がきっかけでした。
 道路工事中に、出来上がった舗装の上を誤って土木機械が走り、キャタピラの跡がついてしまいました。そこを車で走るとブーンという音がしますが、その音の高さが速度によって変わることに気づき、これを応用すればメロディを鳴らせると思いついたそうです。そして、舗装の溝の間隔と幅を変えることにより音の高さと大きさを調整し、音楽を奏でることに成功したのです。正に怪我の功名だったわけです。

 しかし、メロディロードは日本が初ではないようです。1995年にデンマークに建設されたという記録があります。
 さらに遡ると、道路ではありませんがその先駆けに辿りつきます。1971年にアメリカのウォルト・ディズニー・ワールドの中に建設された私設の空港です。このウォルト・ディズニー・ワールド空港は、入場客や従業員の輸送のために造られたのですが、滑走路を飛行機が45マイル/時 (72 km/h)で通過すると『星に願いを』のメロディーが聞こえるように舗装に溝が設置されていたそうです。(2008年に空港機能の停止により撤去)

 さて、メロディーロードは、さらに進化しています。左のタイヤが笛を奏で、右のタイヤが太鼓や鐘の音を鳴らしたり、「カーブです」「スピードを落としてください」と交通安全を呼び掛けます。
 昨今、デジタル技術の進化には目が離せませんが、このメロディロード、何かアナログの懐かしさが感じられて味わい深いものがあります。
 一種のガラパゴスと括られる類のものかもしれませんが、その今後の発展にも期待したいと思います。

2026年9月第1号No.188
(文責:小町谷信彦)

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