十勝管内帯広市に売買川(うりかいがわ)という珍しい名の川があり、そこに同じ名の売買橋が架かっている。何かを売り買いする場所なのかと思われそうだが、そうではない。アイヌ語で、ウウエガリ・プ、集まる・処、の意。
ここは十勝平野のほぼ中央に位置し、かつてアイヌの人たちは近くを流れる十勝川やその支流の川辺に家を建て、魚を捕ったり、山野を駆ける獣を捕ったりして暮らしていた。やがて十勝の開拓が始まり、和人の集団が入り込むと、ウリカリの音に漢字を当てはめて、売買になったようだ。
手元にある『改定版北海道市町村行政区画便覧』(北海道自治振興センター編集)は昭和59年発行の古い冊子だが、その段階では売買の地名は、字売買が東一線から東七線まで、字上売買が東二線から東七線まであり、広大な地域が売買で占められている。
ちなみにこの周辺地域はアイヌ語を基にしたカタカナ地名が多く、頭に字(あざ)をつけてヌーナイ、ヌプカクシュナイ、サラベツなどが現存する。この地域を代表するのが美しいピョウタンの滝だ。