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道の話題「道路が先か? 車が先か?」

2026年10月19日 公開

 日本の2025年新車販売台数ランキングのトップは、軽自動車のホンダ・N-BOX、トップテンには軽自動車が4銘柄入りました。
 しかしこの軽自動車の人気は、今にはじまったものではありません。それは、軽自動車の乗用車全体の保有台数に占める割合の推移を調べると分かります。 軽自動車の排気量が550ccから現在の660ccに引き上げられた1989年時点では僅か26%だったのが、1993年のワゴンR、2003年のタントと次々と進化した新車種の登場によりじわじわとシェアを広げ、今41.5%(2026年7月末現在)にまで達したのです。
 この「軽自動車」という自動車規格、実は日本だけの独自規格ということはご存知でしょうか?
(あえて言えば韓国の軽車(キョンチャ)はやや近い排気量1000cc以下ですが、日本の小型車相当でちょっと違います。)
 では、日本だけがなぜ、そのような独自規格を作ったのでしょうか?
 その答えは、わが国の住宅事情や道路環境にあります。
 つまり、国土の約3割の平野に1億余りの人が密に暮らす日本特有の住宅事情とそれに伴う道の狭さが、車の時代に対応した道路整備を困難なものにしました。諸外国より割高な地価、家の立ち退きの困難というジレンマから欧米のような道路整備はできなかったのです。むしろ狭くて曲がりくねった道路でも走りやすい小さく小回りのきく軽自動車、つまり道路に合わせた車を普及させることで問題を解決しようとしたのです。そのために軽自動車の税金や安全基準等を優遇し、実際それはかなりの程度成功したと言えそうです。

 そもそもこの話は今から2000年前に遡れるかもしれません。ヨーロッパでは広大なローマ帝国の領土全体に2台の馬車が行き違える道幅4mの石畳の街道 ローマ街道が網のように張り巡らされました。それに対して、日本では明治時代になるまで舗装された道路はなかったという歴史の違いに辿り着くのです。
 では、なぜそのような違いが生まれたのでしょうか?
 ヨーロッパは中央のアルプスから南では平地を馬車で移動できたので、馬車のための広い舗装道路が整備されました。一方日本は、山が海まで迫り、峠を越え、山から流れ下る急流を渡らなければならず、徒歩や籠、或いは馬での移動で、広い舗装道路など必要なかったのです。
 つまり、かつては交通手段に合わせて道路は造られていたと言えそうですが、近代になると逆に道路に合わせて車が作られるというパターンも出てきます。
 例えば、四輪駆動車は19世紀の初頭に船を陸上で運ぶため、船底に4つの車輪を取り付け、ベルトで蒸気機関車が引っ張ったのが最初で、1902年に過酷な悪路を走るため四輪駆動のガソリン車が誕生、第2次世界大戦中にアメリカで開発されたジープが戦場で活躍します。そして戦後は、民間に転用され今日に至っています。
 いわゆる「四駆」は、日本でも初めは山岳地や積雪地を中心にオフロードの愛好家等に使われるだけでしたが、今や人気のSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の定番となっています。

 さて、「道路が先か? 車が先か?」このコラムのタイトルは、実は今話題の車の自動運転に絡めた問いだったのですが、結論は「どちらも同時並行」ということになりそうです。
 高度な自動運転(特にレベル4以上)では、自動車の高度化だけではなく、路車協調システム(信号情報や道路情報の送信、5Gの通信環境)や明瞭な道路標示と保守管理、走行空間の確保と保守管理など、道路側にも様々な対応が不可欠となります。加えて法整備とそれに伴う体制も欠かせません。
 つまり自動運転の場合、道路も車も、さらに必要な法律・社会システム、これらが車の両輪のように歩調を合わせなければならないということです。
 私もあと何年車の運転ができるか考える年回り、テンポ良く進め、早く実現させて欲しいものです!

2026年10月第1号No.190
(文責:小町谷信彦)

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