白樺は「高原の白い貴公子」と呼ばれる。冷涼な土地に広く分布するこの白い木肌の樹木は、周囲の緑とも、空の青とも鮮やかなコントラストを見せて、確かに「貴公子」という呼び名がふさわしい。道内にも多くの白樺林があるが、良く知られるものの一つが十勝岳の麓、美瑛町の中心部と白銀温泉を結ぶ道道966号の「白樺街道」だろう。観光スポットの「白銀青い池」に通じる道でもあり、多く人々の目を楽しませている場所だ。
雄大な十勝連峰の眺望が楽しめるこの一帯は、1926(大正15)年5月の十勝岳の噴火で大規模な融雪泥流に見舞われた被災の地である。噴火による岩屑なだれが残雪を溶かしながら高速で流れ下る泥流となって山麓の集落を襲い、死者・行方不明者144人、建物の損壊372棟という甚大な被害をもたらした。人々の命も、労苦を重ねて耕してきた田畑も押し流され、緑は失われ、あたりは巨岩と泥に覆われた。